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越境情報紙「三遠南信Biz」

2021年8月号 TOPICS

物流の確実性が高まれば、取引は当然拡大する

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同じ縦軸「中部横断道」の経済効果から予見する三遠南信道全通後の姿

(三遠南信Biz2021年8月号巻頭インタビューから)

2021年8月号1面

中部横断道の静岡―山梨県間が8月29日、全線開通する。三遠南信道の開通後をイメージするため、山梨県の地域シンクタンク「山梨総合研究所」専務理事の村田俊也さんに、同じ縦軸である中部横断道がもたらす経済効果、沿線で既に起こっている変化について聞いた。

ー中部横断道がいよいよ開通します

山梨県内で最も注目されている交通インフラはリニア中央新幹線だが、それに先立って中部横断道の甲府から南が全線開通する。2002年から少しずつ伸ばし、2年ほど遅れたが、8月29日に全線開通する。

 ー山梨-静岡県間の全通により、移動時間が2時間35分から1時間40分に短縮されます。どのような経済効果がありますか?

時間短縮により、山梨の生鮮品をより早く静岡・愛知県東部に届けることができるようになり、商品の魅力が増す。清水港で水揚げされた魚をさらにおいしく食べることができるようになる。

BtoBでいえば時間短縮により、より遠くのものが入ってきて、逆に山梨からより遠くに送れることが大きなメリット。新規開拓を考えた場合、たとえばこれまで甲府市から静岡市までしか行けなかった企業も浜松あたりまで行けて滞在時間が延ばせるので、1社だった訪問先が2社になるなど明らかに取引環境が改善する。

一般的にいわれるのは人の往来が高まるので、山梨県側に来る観光客は増えると予想される。もっといえば山梨に目を向ける静岡県民は今までより増える。

生活面でいうとあまり多くはないが、静岡への単身赴任者が自宅からの通勤に切り変える可能性がある。山梨南部の南部町は県境のため静岡と強く結び付いているが、付き合いが深いのは、東部の富士宮市や富士市といったJR身延線沿線で、通勤や通学も結構多い。中部横断道沿線開通後は静岡市の清水港まで行き来しやすくなるので、そのあたりとのつながりも強くなる。

全通の効果で一番大きいのは防災面。中部横断道と平行する国道52号は山あいのため、大雨が降ると通行止めになる。大雨による通行禁止が格段に減り、物流の確実性が高まり、取引の信頼性が高まると同時に、競合先に対する優位点になる。これが一番大きい。併せて物流基地としての立地条件がよくなる。

 ーこれまでにどんな変化があり、どのような地域間連携が始まっていますか?

静岡の企業と製造業関係の取引拡大が期待できるが、実は…

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・産業や暮らしへの影響を業種別(農業、建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売・飲食業、金融業、不動産業、通勤・教育)に明記しています。

 

・三遠南信道が開通すれば、プラスの効果に加えてマイナスの効果もあります。村田さんは道路と鉄道の関係に触れる中で、厳しい予測も立てています。

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