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越境情報紙「三遠南信Biz」

2019年10月号

「人の命を守ることは、地域連携の出発点となる」名古屋大学・減災連携研究センター 福和伸夫センター長インタビュー

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飯田市で10月30日に開く第27回三遠南信サミット2019in南信州は、リニア中央新幹線とスーパーメガリージョン、防災にスポットを当てる。広域災害への備えとして、大型地図とプロジェクションマッピングを使って行う連携検討会で三遠南信地域の被害想定などを解説するのは、減災戦略づくりで実績豊富な名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫センター長。新しい試みとなる検討会の意義、三遠南信連携の可能性について聞いた。

2019年10月号1面

西三河の防災広域連携はなぜ成功したのか

―防災・減災の広域連携にはどのような先進事例があるか
大小さまざまな取り組みがあり、県レベルの連携も大事だが、市町村間の連携もと
ても大事。全国に先駆けてスタートし、5年が経過した西三河9市1町の連携は市町村
連携の鏡といえるものだ。

この取り組みが始まったのはトヨタグループが豊田市だけでなく、西三河一円に広が
っているため。行政が一致協力しないとトヨタのような企業グループとは防災・減災面
で手を組めない。産業がダメになれば地域もダメになってしまうという相互依存の関係
にあるからだ。まずは9市1町で研究会を立ち上げ、私を座長に情報共有、ワークショップなどを毎年行っている。

この組織には力がある。9市1町が連携するからトヨタグループ、中電、東邦ガスが
協力してくれる。そのくらいの力があると県も無視をできないので加わり、いろいろな
ものの出発点になるため国も入った。

やってみると、道路がつながっていないことに気づいた。水道は上流から下流まで一
緒にやらないといけないし、治水対策もまさにそう。工業用水は西三河全体で動いてい
る。
このように1市でやるのでなく、地域内で連携しなくては、ということになった。
西三河の良さは首長スタートでなく、ボトムアップ的にやっていること。きっかけを
つくったのは、当センターに自治体から受託研究員として派遣され、自治体連携の必要
性に気づいた若手職員だ。

西三河で一番小さな幸田町の担当者が順番に声を掛けたから、助けてやろうと隣接市
が支援してくれる。この2つが組めたのならと次第にほかの市も支援するようになり、
温度差を解消して9市1町の連携が実現した。

そして課長クラス、部長クラス、首長クラスとボトム的に連携が育っていった。防災
部局から始めたものが企画部局、建設部局へと広がった。

これを見て三遠南信、北勢、西尾張、少し遅れて知多半島が動こうとしている。この
ように、良い事例があれば連携を検討したいという思いは各地域にある。人の命を守る
ことは地域連携の出発点となる。

大型地図とプロジェクションマッピングを使ったワークショップを行うことで、見えてくるものとは

-三遠南信という枠組みでの防災・減災連携をどう見ているか

三遠南信は浜松市が突出して大きく、小さい自治体が多い。みんなでやることには意
義があるけれど、多少余力のある浜松、豊橋、飯田の3市が共通で汗をかくところはや
らないといけない。

企画部局が主体でやっているが、防災部局が(続きは本紙でお読みください)

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