越境エリア・三遠南信(さんえんなんしん=東三河、遠州、南信州)の情報紙「三遠南信Biz」:紙媒体+電子版=400円

越境情報紙「三遠南信Biz」

創刊準備第1号より

「開通による変化に今から備えを」 塚越寛さん(伊那食品工業取締役会長)

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ロープウェイ受け入れ強化を

―三遠南信時代に向け、自社としてはどんな展開を考えているか

1つは、中央アルプス駒ケ岳ロープウェイ(駒ケ根市)の受け入れ強化策。三遠南信道効果によるにぎわいが期待できるが、今でも夏場は混んでいる。

そこでロープウェイ経営会社の中央アルプス観光と地元駒ケ根市、当社、ヤマウラで研究会を続けている。登山・アウトドア用品のモンベルもそれに加わるようになった。今後は県外の視察もしながら具体的に動いていく。

当社は駒ケ根の中心部にかなり広い土地があるので、それも有効活用するなどして協力する。

駒ケ岳ロープウェイ

山岳観光地をもう一つ

三遠南信道を通ってこちらに来る皆さんにとって、上伊那はある意味で終点といえる。そうなるとやはり(魅力は)山だ。

静岡には富士山があるが、手軽に登れる山はそれほどない。そこで中川村の陣馬形山をもう一つの山岳観光地にしようという計画「陣馬形山魅力創造プロジェクト」がある。ふるさと納税企業版の対象プロジェクトとしてすぐに立ち上げたので、うちが1000万円を寄付したら、村としての馬力も上がっている。

山頂のトイレを全面的に直したりと、具体的に始まっている。私の写真を使った自社カレンダーの表紙に使ったら観光客が増え、ずいぶん遠くからも人が来るようになった。

陣馬形は手軽に登れて360度の眺めが楽しめ、自動車でも登れる素晴らしい山だ。

当社にはあまりメリットがないが、キャンプに来た人が登り口にあるグループ企業・米澤酒造の直売店に立ち寄るケースはすでに増えている。

もう一つの山岳観光地として整備が進む陣馬形山

新たな観光施設も整備

―かんてんぱぱガーデンがある本社周辺での展開は

近くに2200坪ほどの土地を買ってあり、道の駅的な観光施設を造ろうと思っている。飯田で降りて観光をする人が増えれば、広域農道は主要な観光道路になってくる。

気楽にトイレ休憩ができる高速道路のサービスエリアみたいなものを想定している。

かんてんぱぱガーデン

価値観の変化に対応を

―三遠南信時代に向け、南信州(飯田下伊那・上伊那)の行政や企業に期待することは

ここに暮らす人がまずこの地が良い場所だと認識し、将来を見据えてもっと宣伝していくといい。

災害が少ないこと、つまり強い風が吹かないことを良さとして認識できているだろうか。それを踏まえて宅地造成をもっと思い切ってやり、都市部やリスキーな地域の皆さんに住んでもらえば人口対策になる。

1戸あたり80坪や100坪程度でなく、200~300坪くらいはとり、あらかじめ木を植えて公園化しておくくらいの発想は必要だ。

一番大切なことは価値観の変化に対応すること。繰り返すが、これからのキーワードは快適さ。「金が欲しい、ぜいたくをしたい」から「一番欲しいものは快適さ」になる。幸せの度合いが増すことを進歩というが、それを忘れている経営者は多い。

昨年、働き方改革の先駆的存在といえるサイボウズの青野慶久社長とも話したが、土地が安く緑豊かな田舎の良さを生かし、快適に働ける環境があれば、家賃が高い東京にはオフィスの一部を残し、あとはこちらに…という展開も可能になる。

家庭だけでなく会社で過ごす時間も幸せなものにするには、働く場所にも快適さが必要。工場の面積は大きくとるが、事務所の快適さまではなかなか気が回らない。

当社は早くからそれをしているから就職希望者は多く、人不足は関係がない。

つかこしひろし 1937(昭和12)年、駒ケ根市生まれ。肺結核のため高校を中退し、3年の療養生活を経て57年に地元の木材会社に就職。翌年、経営破綻状態だった寒天メーカーの伊那食品工業の社長代行となり、再建に奔走。相場商品だった寒天の安定供給体制を確立し、家庭で気軽に寒天菓子が作れる「かんてんぱぱ」シリーズ、寒天の成分を活用して医療・美容市場を開拓するなどして、48期連続の増収増益を達成した。「社員を幸せにし、社会に貢献すること」を企業経営の目的とし、外部環境に左右されずに会社を少しずつ成長させる「年輪経営」を提唱している。

 

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